昨日の夜、レンタルDVDで「17歳のカルテ」を観た。
境界性人格障害の少女が精神病棟で過ごし同じ病棟の患者とかかわりを持つ中で、自分の障害を自覚し、たとえ欺瞞だらけの世界でも、病院の外で生きていくことを選ぶ、というお話。
もちろん、しっかりと人格障害の病識がある私であるので、そんな短期間でシャバに出られるくらいにビョウキがよくなるのかという懐疑を持って観たのだけれど、主人公は「どこがBPD?」と思いたくなるような程度だった。
だって、私が常に苦しみつつ周囲に見せないように血のにじむような努力をしている、他者を自分の内側に囲い込もうとする行為や、近しい人の裏切りを恐れてその人を試そうとする行為や、怒りや悲しみに周りの人を翻弄するような発作的行為など、まったく主人公に見られなかったから。
主人公に見られたのは自己の不安定さと依存行為だけだった。
ただ、BPDの描写にこだわらなければ、絵もキレイで、女優さんたちがキャラクターを的確に演じていて、最後まで楽しめる映画ではあった。60年代のアメリカの世相描写も楽しめた。
評判どおり、若き日のアンジェリーナ・ジョリーのキレキレの演技に見所があった。特に口先だけでかつての入院患者を追い詰めていくところが唯一人格障害らしき描写かな、と思った。
作中で使われている曲「この世の果てまで」は、私は英語がわからない人だからメロディだけで甘い愛の歌だと思っていたけど、そうではなくて、映画のシーンによく合った意味の歌詞なのだとさっき検索して知った。
しかし、この映画を観て、BPDがこんなものだと思われるとしんどいな。周りもしんどいだろうが、本人はやはり、自分を消滅させたいと始終思わずにいられないくらいしんどいから。