私は全然映画のことは知らないから、いや、全然見ないわけじゃないし彼の出演作もいくつか見てるけど面白くてうまい俳優さんだ、くらいの思いしかなくて、だから俳優としてのロビン・ウィリアムズのキャリアが途絶したことを嘆いているのではない。
彼はアルコール依存と薬物依存があったらしい。
何度か治療をして、最新のニュースでは近年は依存状態ではなかったということだった。
以前からうつ病があったところへパーキンソン病になり、将来の不安が増大していた、というようなことを夫人が語っているのだそうだ。
人の生きる道には、いろんな分類方法があるだろうが、ここに私はひとつの分類方法を定義したい。
依存症に陥らざるを得ないような生育歴を持つ者が生きる道と、そうでない道だ。
瓦礫の上を素足で歩くようなその道の辛さを何とか忘れたくて、人はアルコールや薬物にのめりこむ。そういうものを遠ざけて苦しいままに生きようとするとそこにはうつが待っている。
生き辛さというものは、人間が老成すれば少しずつ緩和されていくのじゃないかと私はかつて思っていた。
だから早く年を取りたかった。
人に口を利くたびに答えを受け取るたびに心をナマスに切られるようなことは次第になくなってふてぶてしくなれるのじゃないかと思っていた。
だが、吾妻ひでおはあんなに才のある人なのに今もアルコールの奈落にスリップすることを危ぶみながら綱渡りのように薬を飲みつつ生きてる。
この道は一生逃れられない道なのだろうか。
私はこの瓦礫の上から下りる事はできないのか。その方法はひとつしかないのか。
そんなことを考えている時の訃報だった。
下りるわけには、まだ、いかないので、それに、やっぱり前に進まなければとも思うので、私はまだまだ痛みに耐えながら歩かないといけない。
お酒も薬も使わずに。この道を。
つらいなぁ。