われもの

投稿者: | 2020年7月18日

さっき、晩御飯の支度をしていて、ざるについた水滴を切るのにシンクにざるを打ち付けようとして手元がくるって、シンクに差し渡してある水切りラックに置いてあった小皿に当たってしまい、ぱっかんと真っ二つに割れてしまった。

ああ。

私はそそっかしいから、よく器を割ったり欠いたりしてしまう。この小皿はもうずいぶん前に買って5枚揃いのまままだ欠損のない、我が家では貴重な皿だったのに。
薄い水色で青海波の地模様のある皿で、大阪の道具屋筋で買った。
これまででも落としたことがあったりしたけれど丈夫なようで割れなかった。割れなかったから、いつのまにか割れないものだと思い込んでいたのかもしれない。

ひょんなはずみで、ものは壊れる。
それはもう60年近く生きてきたら存分に知っていることのはずなのに、ほんとうにうかつなことに忘れていたのだった。

とりあえず4枚でも困らない。そもそも我が家には来客はないし、そして今は人が訪ねてくるようでは困るし。
ただ、指の先の小さなとげのように、壊してしまったものと壊してしまった愚かさが脳みその隅っこに刺さってる。

さして知らない俳優さんだけれど、若い人が自死するのは、割ってしまった小皿のことよりも心に刺さる。
どうしてもその道を選ぶしかない妥当性は本人しか知らないのだろうから、何も言えないけれど。
こんなトンネルの中じゃなく、とりあえず明るい場所に出てから、それでもその道しかないのかどうか考えられるとよかったのになぁ。

比較的気を緩めて過ごせる時間が、こんなに短いとは思わなかった。来週はどうなっていることか。
それでも、なんとかこのトンネルを生きて抜けたいものだ。

夫、16日に無事退院しました。
今はまた一から、尿漏れのトレーニング中です。


もう散ってしまったけれど、庭のユリ「サーモンスター」。