そのまま

投稿者: | 2020年9月2日

書いていなかったことがあった。

2月の夫の手術から1週間経って、午後の検査次第でカテーテルが抜けて退院が決まるとなった日に、午前中に銀行の用事やら買い物やら済ませておこうと思ってバイクで出かけた帰り道、家から割と近くの道で、前方の空を飛んでいる鳥の群れがあった。スズメよりも大きい。ハトよりも小さい。ムクドリとは体のバランスが違って頭が少し大きめな感じがする。何の鳥だろう?としばらく見やっていたけれど見失って、忙しいこともあるしそのまま家の方向に走ったのだが、曲がり角を左折しようとしたら真正面の電柱に斜めに渡してある電線に20羽ほどの鳥がとまっていた。
ヒレンジャクだった。
さっき飛んでいた鳥はこれだったのかと。
夫の入院の前の週まで、出ているという場所をあちこち探してめぐり逢えず、夫が入院してから近所の公園に出たとネット情報で知って悔しがっていたその鳥が目の前にいた。
スマホじゃ撮れないが証拠写真だけでも、と撮った。

下の下の証拠写真だった。
午後から夫の病院に行って見せた。
夫はこれで明日に退院許可とか出て、果たしてちゃんと家まで帰れるんだろうか?と思うほど、顔色も悪く痛みも強く(そりゃそうだ。膀胱と尿道がつながらずパカパカだったのだから)、得体のしれない不安が胸にとぐろを巻いていたのであるが、あれほど探していたヒレンジャクが家の近くまで来ていたのだから何か吉兆なんじゃないかなどと無理やり思うことにして、夫にも「ほら、鳥さんも退院を待ってるんだよ。また見に行こうね」などと言ったりしたのだ。
で、夫の造影検査は予定の15時を越え18時を回り、カテーテルは抜けたものの私の帰宅後詳しく写真を見た担当医が焦ってまた夫はカテーテルを突っ込まれ、それからまだ2週間入院し、結局カテーテルを抜けずに蓄尿バッグを提げたままの退院となり、いったい何が吉兆やねん、という話である。

ネタとして書くには気持ちの上で全くこなれていない出来事だったので書けずにいたのだけれど、もう書いちゃうことにした、という。
夫、再び尿道狭窄が進行してきたようで、またお医者さんのお世話にならなきゃ、のようなのだが、いや、正直落ち込むけれども、自然物に吉凶を見るようなショボい心持ちは捨てて、美しい雲も、珍しい鳥もそのありようをそのまま楽しめるようであらねば、と思うのだ。


庭に来てくれたカトリヤンマ。一所懸命名前を調べた。