こくふく

投稿者: | 2020年9月15日

ビックリするほど急に季節が変わった。
今朝はもう肌掛け布団では寒く感じられるほど。

明日からまたしばらく雨の様なので、昨日は、夫の手術後からずっと寝室にもしていた居間のラグをはいで、床を拭き掃除した。4月いっぱいまでベッドを置いていたし、長梅雨の間も布団を置きっぱなしだったのでラグも敷きっぱなしで、部屋がかび臭かった。ラグの下には白いカビが生えているところもあり、アルコールで拭いて扇風機の「強」で一日風を当てていた。夕方には床のカビ臭はほとんど抜けた。

座布団もかび臭いのがあって、一計を案じ、和室のにおい取りのために買ったオゾン発生器を座布団と一緒にビニール袋に突っ込んでみた。新しい座布団のカビ臭はそれで取れたのだが、古い座布団の方は2回やっても取れないので、時間かけて天日干ししようと思う。
座布団カバーも洗って夕方干しあがり、においのしなくなった座布団を入れた。こんなことが心地よく、なによりうれしい。

さて、ラグだ。

也々がいた時に使っていたラグはコインランドリーで洗って干して押し入れに入れてあった。それを天日干しにしたのだが、やはり「犬のにおいの染みついたものを押し入れに入れっぱなしにしていたにおい」がはなはだしい。
やっぱり今のラグを洗ってこないとダメか。

コインランドリーに、ものすごく行きたくなかったのである。

前回コインランドリーに行ったのは、去年の5月。
ラグを洗いに行って、洗い終わるのを店内のソファに座って待っていた時、母から電話がきたのだった。咳が止まらないし声がかれたので朝から病院に行ってその報告で、「ただの風邪だって、葛根湯出されたよ」というので、それならすぐ治るよ、風邪の声がれはしばらく残るけど日にち薬だよ、みたいなことを言って通話を終えたのだけれど、それから5分もしないうちにまた電話がかかってきて、「ほんとうは、よくなかったの。レントゲン撮ったら卵みたいな大きな影があったの」と。
店内のスピーカーからずっとBGMが流れていたのだけれど、何の媒体から流していたのか、何かのインストゥルメンタルで不安げな曲で、その曲がだんだん山場へと差し掛かるのだけれどその直前くらいになってレコードの針が飛んだような様な状態で同じフレーズを3回繰り返し、また曲の最初に戻るというのを延々聞かされて、その居心地悪さというか気味の悪さというか、母が癌であると聞かされた心情と相乗効果で、ものすごいマイナスイメージを私の脳に刻み付けてしまったらしい。
母が亡くなってからも、そのコインランドリーの前をなるべく通りたくなくて、通らなければならない時は、もう「いやだいやだ」が心の中で暴れまくって、洗わなければならないものもあるけれど、別のコインランドリーはスクーターで荷物を運ぶには遠すぎるので行けなくて、ずっとずっと葛藤をかかえていたのである。

でも、さすがにもう、行かないとダメだ。
これからはラグを洗っても乾きにくくなるし、それに、コインランドリーを使うならコロナの山がいったん収まっている今のうちしかない。10月に入ればどうなるかは目に見えてる。

意を決して、行ってきた。
あの、恐ろしいインストゥルメンタルが相変わらず流れていたらどうしようかとおもったけれど、スピーカーからはラジオの番組が聞こえていた。明るい元気そうな関西弁のアナウンサーだった。
ちょうどLINEをいただいたのでお返事を書いているうちに待ち時間も過ぎたので沈鬱な思いに浸ることがなくて済んだ(いつも私のピンチを救ってくださる。感謝)。

家に帰ってラグを干した。一日では乾ききらないので、結局古いラグを敷いたのだが、布団用掃除機でしっかり叩いて吸ったら臭いのが取れた。

古くてガタガタの家だけれど、きれいになると居心地がよい。小さな暮らしの幸福を感じられること、何よりありがたい。
母のことも、こうして少しずつ、薄紙にくるんで大事にしまって行くのだと思う。


先々週、遅いかなぁと思いながら夫の車で寄ってもらったら咲き残ってた、キツネノカミソリ。