落下注意!

投稿者: | 2025年6月8日

赤目四十八滝に行くのは40年ぶりくらいのことであった。
夫と交際中に出かけたはずなのだけれど委細は覚えていなくて、ただ一つ覚えているのは、高さ1mくらいの橋のたもとで夫が足を踏み外し、落下したことである。幸いにも、岩だらけの渓谷なのに頭を割ったりもしなかったし骨を折ったりもしなかったのだけれど、落ちた瞬間はしばらく起き上がれなくて、現地までは夫の運転するクルマで来ているので、夫が運転できなかったらどうやって帰ったらいいのだろう(当時はものすごく貧乏だったからトラブルに対処できるだけのお金がなかった)と恐ろしかった。
その時はまだ知らなかったのだ。夫が、「フツーの」人間よりも桁外れてあらゆる場面で不注意であるということを。

名張(なばり)方面にせっかく出かけたし、時間があったので、40年ぶりにたずねてみたいと思ったのは、夫が落下した橋をもう一度見たかったからだ。

渓谷の散策コースに行くには、水族館の建物を通らなければならない。水族館の入り口で大人1人1000円を払う。

タウナギ。
サギの写真など撮っているとたまにたウナギを獲って吞んでいるのに出くわす。こうやってきれいな水にいるタウナギは初めて見た。


ナガレヒキガエル。水槽に4匹くらいいてほかの子はじっとしてるのに、コイツだけワサワサと動いていた。


ひどい写真だけれど、オオサンショウウオ。赤目四十八滝といえばオオサンショウウオ。

あっという間に水族館を出て散策路。
土曜日だからか人が多くて後ろから来た人にどんどん追い抜かれる。カジカガエルの写真を撮ったり、ちっちゃな花の写真を撮ったりして根が生えるから。

散策路は最初はすれ違いができる道巾だったけれど、先に進むにしたがって狭くなる。
で、滝。




滝があるたびに、散策路は滝の上側に上がるようにつけてあるから急階段を上らないといけない。こんな階段を上った覚えはないのになぁと思いながら進む。巾のあるところで後ろからきた若い人に道を譲ると、スイスイ上っていく。40年前は20才過ぎだもん、私もスイスイと上っていたのかもしれない、と思ったり。

散策路の「百畳岩」というところまで行ったけれど、夫が落ちたらしき橋がない。あえて言うならば、この百畳岩にかかっている橋が一番それっぽいようにも思うけれど、橋の下は砂地だったような記憶があるのにごつごつした岩しかなく、ここから落ちたら頭が割れるだろうとしか思えない。
40年たったから地形が変わってるのかな・・・でも・・・
ここまで来るのもかなりハードだったし、それ以上先に行ったようにも思えないので、Uターンすることにした。お弁当も持ってこなかったしすでに1時になっていた。

40年前は夫は打ち身がありながらも渓谷の道を戻り、クルマでちゃんと私を家まで送り届けてくれた。
現在は、私たちは3倍の年齢になっていて、体はガタガタで、頭もフラフラ。
やはり後続の人たちにどんどん道を譲って、慎重に慎重に帰ってきた。
ようやく水族館が見えたときには2時。やれやれ。
・・・ということで、センチメンタルハイキングは終わり。


シソバタツナミ(らしい)が日の当たる場所にはところどころ咲いていた。
イワタバコがいっぱいだったから、また来たいと夫言うナリ。それはいいけど、妻は落下が怖いナリ。