ゴールデン

投稿者: | 2025年10月29日

固定電話に毎日のようにかかってきた外国からの電話はこの頃はトンとご無沙汰である。
だもので、めったに電話は鳴らないのだけれど、先日買取やさんから電話がかかってきた。
家にある古着を買いたい、ということである。

あら古着を買ってくれるのラッキーなんて思っていると、やれ貴金属出せ、洋酒出せなどと言われるらしいので、断捨離したばかりで何にもないんですよごめんなさいね、と言って切る。

洋酒は、ない。
ウイスキーもブランデーも夫はたしなまないのでなぁ。すみません。
貴金属、というのも世間一般の方々が持たれているようなものは全く購うゆとりがなかったもので持っていない。

最近、金の相場が高騰しているとかで、私は毎日楽しみにチェックしている。
先週は金の地金で23000円台を付けたのが急落したりして、金をお持ちの方は笑ったり怒ったりしているのだろうか。
確かに、日本はもとより、アメリカも多分どうにかなっちゃうだろうと思うから、お金より金の方が信用できるのだろうなとは思う。庶民は右往左往して死んじゃうだけだけどね。

母が昔、パチンコをして実家の生計を支えていたころ、近くの台に座った常連のオニイチャンがオケラになって、母に声をかけ、喜平のブレスレットを買い取ってくれないか、と懇願したらしい。
たまたま母の財布にそこそこお金が入っていたので交渉がまとまりそのブレスレットは母のものになった。見せてもらったことがあるけど幅が1㎝くらいあるような重たそうなものだった。
母は宝飾品が好きだったけれど私は興味がないのでどのくらい値打ちのあるものかなどと考えたこともなかった。
それから数年たって、2013年ごろだったと思うが、新聞かテレビかで金相場がとても上がっている、というのを知って、父と母で相談して、どこかに金を売りに行った。その喜平ブレスレットのほかにもうちょっと細い喜平ネックレス(質流れ品をどこかで買ったものだったかと思う)なども持って行ったと聞いた。それが総額で20万円近くになり、「こんなにお金になると思ってなかった」と喜んで電話をかけてきた。(今調べると、当時の金地金価格は1gで5千円内外)
・・・ただ、そのお金は、まるまる母の妹に送ってしまい、母の手元には残らなかった。母の兄(独り身)が肺がん末期で死にかけていて、母は閉塞性動脈硬化症で満足に歩けないために看病にも行けず、詫びのつもりで妹に送金したのだった。これに父(吝嗇)が怒り母が死ぬまで嫌味を言っていた。

その時からさらに金の値打ちが上がって、当時の20万円なら今は80万超えるだなんて知ったら、両親はいかに思うだろうか。
草葉の陰で悔しがってるだろう(笑)

ところで、実は私も1コ、金の指輪を持っている。18金である。
これは、私が2回目の卵巣の手術をしたころだから1994年くらいに母に買ってもらったもの。
「とにかく金の蛇の指輪を買ってくるように」と言われて、梅田に出たときに地下街の安い宝飾品のお店で1万くらいで買って、あとでお金をもらった。

私の婦人科系の手術をなぜか、母は自分が流産したり、体のために人工中絶をしたりしたことの報いだと信じていて、だから無神論者の私にかくれてこっそり和歌山の淡嶋神社にお参りに行ったりしていたのだが、金の蛇の指輪もそういうたぐいのことだったろうと思う。
宝飾品は好きじゃない。神様も信じてないけど、指輪はできるだけつけていた。
私は母から愛されているという実感に乏しかったけれど、指輪は数少ない母の愛の形だ。

蛇だしね。節高になりしみの目立つ指に似合わないけど、まあ、売らずに持っとくね。