いつかは

投稿者: | 2021年2月9日

前に書いたかも知れないけど、大学の化学実験の講義の時に、ガラス管からピペットを作るというのをやらされた。

私は折り紙付きの不器用なので、ガスバーナーで熱したガラス管をふさがらないようにまっすぐ伸ばす、というのがなかなかうまくいかなかった。
私のクラスは7人で男子5人の女子2人。実験のクラスは他のクラスの人たちも合同だったのだが、全体で見ると女子はメンバーの3割もいなかった。
教官は教室を巡視するのだけれど、どんくささが際立っていたからなのかもしれないが
「女がそんな不器用で家のことができるのか。嫁に行けないぞ」
と私に言った。

カチン、ときた。

「先生、それは女性差別です。撤回してください。」
言ってしまった。

折悪しく、終業チャイムが鳴った。昼前の講義だった。
教官は偏屈で陰険な質だったのでそこからお説教が始まった。講義は終わっていないので受講者が全員残っている場所で、確か15分くらい説教は終わらなかったと思う。
これは今から40年くらい前の話なので、もちろん教官は自分が悪いなんて毛ほども思わない。そして、周りの他の学生も少しも疑問に思わない。
やっと説教が終わった後、皆に悪態をつかれた。一緒に性教育ゼミを立ち上げ、(当時はジェンダーという言葉を知らなかったので)性的役割分担について考えたり話し合ったりしてきた同じクラスのFにも「言っても無駄なことなのに、昼休み前というタイミングを考えたら言うべきではなかった」と。
異性からも、同性からも「わきまえない」と圧力を受けた。

今、私はうれしい。
あの時の、たったの一人も味方のいなかった私に教えてあげたい。
森元首相の女性蔑視の発言に、本当にたくさんの人が怒ってる。私は一人じゃない。
それに、きっと、あの時同じ教室にいた人たちの中にも、古いジェンダー観をアップデートして、森元首相の発言に憤ったり違和感を持ったりしている人もいるかもしれない。
日本の女はまだまだ生きにくい。今コロナ禍でどれだけの女性が困難に直面しているだろう。それでも、40年前よりもずっとずっと進歩だ。そして、いつか、本当の自由と平等を手に入れられるときがきっと来るんだ。

まだまだ、私は「わきまえない」でいく。


先週やっと会えた、とっても赤いベニマシコ男子。