ノイバラもいつの間にか咲いてた。
たくさんたくさん咲いてるノイバラの香りがかぎたい。
5月の薫風はかなしい。
皆がそろっていたころの実家を思い出す。
両親が今もうなくなっていて幸いだったと、そう思っているのは嘘じゃないけど、もっときちんと言うと、こんなにボロボロになった日本で命を見捨てられて生きていかなければならないのなら、すでに死んでいてよかった、というのが一番当たってる。
ふたりとも令和に死んだけれど、昭和のどん底に生まれてそれぞれとともに成長する昭和に生きて、昭和の遺産で繁栄の残像を見せたままの時代で老いて幸福だったと思う。
水道管に穴が開くのを恐れ、舗装したくてもアスファルトがない道を走り、ゴミを出したくてもビニール袋がなく、段ボールがないから荷物も送れない。そのうえプリンも食べられない。
そんなことがこの国に起こるなんて知らなくて、ほんとうによかった。