夫婦を越えて行け

投稿者: | 2016年11月4日

ドラマ「逃げ恥」に夢中なんである。
 
「SUN」から「YELLOW DANCER」を聞いて、上っ面じゃない詞の重い意味に結構うたれて。
俳優としての星野源は「ゲゲゲの女房」では地味な俳優さんだとしか思っていなかったのだが、「昨夜のカレー、明日のパン」でかなり印象深くなった。「コウノドリ」もよかった。
それで、とりあえずは見てみようと「逃げ恥」第一回を見て、もうゾッコン。
星野源に、というのじゃなしに、ドラマ世界に、かな。
 
つい数日前、「好き避け」という言葉を知ったのである。その現象は自分もされたことがあったけれど、名前があったとは知らなかった。

見ていない人にわからない話をくどくど書くのもなんなので。
 
ひとつだけ。主人公みくりを対外的には結婚を装った家事労働者として、「プロの独身(彼女いない歴=年齢)」平匡(ひらまさ)が雇用する、という設定なのだが、みくりの突拍子もない申し入れに平匡が雇用を承諾する背景に、平匡の「自尊感情の低さ」、つまり恋愛対象として誰にも選ばれなかった悲哀を、就職活動でことごとく敗れた(どの企業にも必要とされなかった)みくりの悲哀を重ねてしまったことがあった。
かたや京大卒・IT関連会社の高収入男性、かたや院卒女性で、双方ごく普通の家庭で特に困窮もすることなく生育してきて、その二人ともが健全な自尊感情を持てずに心に傷を負っているという描かれ方は、山ほどの家族の問題を抱え、困窮し、きちんと育まれなかった私から見ると、え~~?なんで~?と思えるのだけれど、twitterでドラマの放送中ハッシュタグができ、若い視聴者の反応を見ると少なくない人たちが彼らに共感しているのを見て、今の時代、いろんなものに淘汰されたり傷つけられたりして、若い人たちが本当に生きにくい世の中なのだとつくづく思う。
 
みくりと平匡、契約結婚の夫婦から、恋のある「ふたり」に。恋の中から、誰にも損なわれない尊い人間の「ひとり」に。
ステキに育っていくところを見たいな。